東芝特需?
東洋経済で「東芝が消える日」という特集を読んで関係ないのだが、現在おそらく東芝本体や東芝メモリ以外の子会社の多くでデューデリジェンスが行われているんだろうなと思った。
それは東芝が自ら今後の子会社売却をスムーズに行うための「セルサイドデューデリジェンス」の場合もあるだろうし、子会社の経営陣が自らスポンサーを見つけてきて行っているデューデリジェンスもあるだろうし、既に買い手もいくつかに絞られた状態で行われているデューデリジェンスもあるだろうし、メインバンクを中心とした銀行が融資継続や追加融資の判断をするために行うデューデリジェンス(しかもその費用負担は銀行ではなく債務者である東芝)もあるだろうし、とにかく多くのデューデリが行われ各子会社の企画担当は大変だと思うし、東芝関連で多くのFAS、コンサル会社、弁護士事務所には特需で沸いていることが予想される。
オリックスによる弥生の買収
オリックスがMBKパートナーズより弥生を取得するとのこと。
取得価額800億超とのことです。MBKパートナーズは、2007年にライブドアから710億で取得しているので、単純にみると100億くらいの利益と見えますが、MBKパートナーズはLBOローンで調達しているはずですので、実際のリターンはもっと大きいはずです。
2007年当時のLBOのレバレッジがどれくらいかはわかりませんので単なる想定で3倍とすると、
MBK拠出額 180億
LBOローン 540億
返済額/年間 30億
返済総額 210億
ローン残高 330億
株式価値 800-330=470億
MBKのリターン 470-180=290億
だとすると、良いディールだと思います。リーマン前なのでもっとレバレッジがかかっている可能性もあります。
ということで、当たり前ですがレバレッジが高ければ高いほどリターンも大きくなるといことを実感する次第です。
弥生としてもやっとLBOローンから解放されて投資もどんどん出来るようになると思いますので、クラウド化もいっきに進み次のステージにいけるのではないでしょうか。
ホットリンクによる米国Effyis,Inc.の買収
金曜の夜中にリリースされたホットリンクによる米国Effyis,Inc.の買収についてです。
Effyisは中国のShina weiboへのフルアクセス権が付与されている唯一の企業であるということが強みだとのこと。
ホットリンクは、ソーシャルのビッグデータを抱える戦略のようですが、ソーシャル上のデータ(有象無象のつぶやきや掲示板のコメント)をどうビジネスに活かすかという提案がクライアントに提供できるか否かがポイントだと思うのですが、金曜日に公表された下方修正からもそのあたりが決してうまくいっていないようにも感じます。なので、データだけたくさん抱えてもどうなのかな?というのが本件の感想です。
価格は総額2,464百万円でクロージング時に1,568百万円残りを4年の分割払いとのことですが、これは9末の現預金1,677百万円(700百万の借入実施後)にこれから借入する700百万という資金繰りも影響しているのかもしれません。金融機関のローンが14億がやっとだったので分割払いになっているのかなという気がします。(アーンアウトならそのように記載すると思いますし)
テンプHD、パナソニックの人材派遣事業買収へ
いつもの日経のリーク記事です。ついにパナソニックエクセルスタッフの取得先が決まったようです。
人材派遣2位のテンプホールディングス(HD)はパナソニックの人材派遣事業を買収する方向で最終調整に入った。同6位のパナソニックの全額出資子会社の株式約66%を2015年3月期中に取得する。買収金額は100億円規模になる見通し。
2次入札ではパソナ、ランスタッドが争いに加わってたとのこと。テンプHDは昨年もパナソニックから技術関連領域の2社を取得していたので、そのあたりの関係性も多少は有利になったのでしょうか。あ、でもパソナも先日事務系アウトソーシング会社をパナソニックから取得してたのでイコールか。
買収価格100億程度というのは、66%で100億ということなのだとすると企業価値150億強ということだとするとそこそこ予想通りですね。
と思ったらテンプから”一部報道について”というリリースが出てます。
未稼働資産の有効活用スタートアップ
縫製クラウドソーシング「sitateru」、VC・リブセンスから資金調達という記事を見ました。
オリジナルアイテムを小ロットで生産・販売したい小売店と、稼働率を高めたい優れた技術力を持つ日本のアパレル縫製工場をつなぐプラットフォーム「sitateru」を開発し、11月より本格オーダーの受付を開始。有名アパレルブランド製品の生産を手掛ける国内アパレル縫製工場と提携し、小売店が必要なアイテムを必要な枚数で生産依頼できる仕組みを提供する。
最近この手の未稼働や遊休資産を活用したスタートアップが多くあるようです。この走りはもちろんAirbnbですが、
・ラクスル(印刷)
・スペースマーケット(空きスペース)
・リネット(クリーニング)
・あきっぱ(駐車場)
・UBER(既にスタートアップという規模ではありませんが)
このようにまだ未稼働や有効活用されていない資産と、それを活用したい人のマッチングビジネスというのは他にもありそうですね。特に自治体が保有する資産の中にはたくさん未稼働資産が眠っていそうです。
オープンハウスによるアサカワホームの株式取得
オープンハウスが建築請負のアサカワホームの株式取得するという。
全く門外漢の分野ではあるが、いわゆるオーナー系の戸建建築企業の買収というあまり表には出てこないようなM&A案件のような気がしたので目に留まりました。
アサカワホームはここ3年にコンスタントに売上300億、営利16億程度を維持しており、プレスリリースやWebサイトにもあるように”ローコストハイクオリティ”という素晴らしい特徴とのことで良い企業です。
今回の取得対価は7,920百万円ということで、何となくですがフェアバリューな気がします。(今後の長期的なマーケット縮小、労務費の高止まり等を勘案するとです)
あと、余談ですが昨年くらいにいろんなヘッドハンター経由でオープンハウスのM&A担当の求人があるという話をよく耳にしました。採用出来たのでしょうか?
- 作者: 木俣貴光
- 出版社/メーカー: 中央経済社
- 発売日: 2010/01
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 5回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
CookpadによるNetsila S.A.L.の株式の取得
クックパッドがレバノンのレシピ会社を子会社化に関する基本合意をしたという。
海外展開を進めている同社ですが、ついにアラビア語圏にも進出ということで日本発のインターネット企業としては着実に進んでいる雰囲気です。
譲渡価格1,393百万円のうち53百万円がアーンアウトとのこと。ということはほとんどがFIXしているとのことだと思うのですが、これくらいの金額でもアーンアウトを設定する意味はあるということなんでしょうかというのが気になります。
もしかしたら最後の価格交渉で53百万円差が埋まらずアーンアウトにすることで手を打ったということなのかもしれませんね。
殿堂入りレシピも大公開! クックパッドの大人気おかず108 (扶桑社ムック)
- 作者: クックパッド株式会社
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2014/07/31
- メディア: ムック
- この商品を含むブログを見る